『神村企画 (DOWN IN INC.)』
唐島日出刀(29歳)
作品紹介
映画館でバイトしながら映画俳優を目指していた貧乏生活が一変。僕は通称「神村企画」でヒットを約束された小説の作者として世に売り出されることになった。世界を欺く大規模プロジェクトの波に乗って富と名声を手にして僕は有頂天になるが、それもつかの間。神村企画の駒でしかない僕はウソで固められた迷路にはまっていく。気がついたときには、命さえも危険にさらされることに。
優秀作品選評
いわゆるパロディというものがどれだけ受け入れられるかはわからない。でも、この作者には、この方法論でしか書けない必然がある。また、それを書くにあたっての経験と文学的知識もある。そこが素晴らしい。
日本の文壇に対する違和感が、そして日本の社会に対する違和感が、彼の小説の原動力になっていることも間違いない。そして、それをパロディで書こうと工夫している。この作品の善し悪しだけでなく、ずっと書いていける人だと思った。じっくり少しずつ、いい小説を生み出していきましょう!
文芸X出版部長 蓬田勝
寸評
私も編集者のハシクレとして「ベストセラー作家を作りたい!」なんてことも思ったりするが、そんな妄執も笑い飛ばしてくれるような作品。最近、小説だけでなく、日本のアニメやファッションなどを国主導で海外に紹介しようという動きが盛んで、それに対する風刺小説とも読めるが、基本はドタバタコメディとして楽しめる。日本の街なかにある、奇妙な英語を笑うシーンがあるが、よほど英語力がある人でないと笑えない。丁寧に「なぜ楽しいのか」が説明されているのだが、ちょっと興ざめな感じもする。(編集O)
書籍化情報