野球の神に、絶対打てない魔球『神の一球』を授けられた主人公は、その魔球を使い、《才能がありすぎて野球に飽き始めている、主人公と同期の天才スラッガー》を、高校の3年間、完璧に抑え込み、奮起させろと命じられる。中学時代の苦い思い出のせいで野球が嫌になった主人公は『野球がやりたくない』という理由でその任務を拒むが、逆らえば地獄に落とすと脅され、仕方なく・・・・・・。
優秀作品選評
これでもかこれでもかと何度も何度も応募してきた若者に、野球の神様が微笑んでくれたわけではないだろうが、見事、感動の野球小説に仕上がっていた。
細かな言葉遣いや文章には下手な所も多く、ラストのエピローグは蛇足だし、まあ貶そうと思えば貶せるところは山ほどだが、それでも野球の蘊蓄もしっかりしているし、ダメダメな部員たちが成長していく物語に、目頭を熱くする読者もいることだろう。
展開のスピードが均一なのは少し考えて、メリハリを付けなければいけないが、「もしドラ」みたいな実用的流行とは正反対の、「アパッチ野球軍」以来の高校野球部ドラマの傑作誕生!と言えるのではないだろうか。
メフィスト賞で西尾維新さんが何度も何度も応募してやっとデビューできたように、頑張って何作も応募してやっとデビューできた新人は大きく羽ばたくことができるという伝説を壊さないように、これからも考え、書き続け、考え、書き続け、精進してください。
ついにご受賞、おめでとう、才動さん。あっ、そうだ。タイトルもそうだけど、ペンネームも一生もんだから考え直そうね、ぜったいに。
文芸X出版部長 蓬田勝